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夜天の使い魔26話

トリステイン魔法学院に、長い長い夏期休暇がやってきた。
トリステインの夏は暑い。この時期の魔法学院の石造りの塔の中は、本領発揮とばかりにさんさんと照り輝く太陽の過剰な恵みによってまるで蒸し風呂のように暑くなってしまうのだ。こんな状態では勉学に励むなど出来るはずもない。因って気候が涼しくなって安定するまで、本日より二ヵ月半もの長期間に亘り、生徒達のみならず教師達も一時的に石造りの塔から開放され、思い思いの時間を過ごす事が許されるのだ。大半の生徒達は自らの家へと帰り、のんびりとした時を過ごす事を選ぶのだが、中には魔法学院に居残る事を選ぶ風変わりな者達も居た。

 何時もなら貴族の子女達で埋め尽くされるアルヴィーズの大食堂の長机の中央で椅子に持たれかかる三人の少女達こそ、そんな数少ない奇特者の内の一部であった。
 一人は、美しく輝く桃色がかった金色の髪を持った小柄な少女。椅子の背もたれに完全に体を預け、「あ゛ーづーい゛ー」と口から奇怪な響きの文言を漏らしながら虚ろな視線で天井を見つめており、時折テーブルに置かれたコップの水を口に含み「ぬるー」と文句を綴るのはルイズ・フランソワーズであった。

 一人は、褐色の肌と燃えるような赤い髪を持った、妖艶な雰囲気を漂わせる少女。普段なら黙っているだけで色気を振り蒔くはずのその姿も、「だぁーるぅー」とルイズに負けぬ程に怪しげな響きをさせながら口から漏れ聞こえるだらけきった声と、完全に机につっぷしているやる気の無い様相が全てを帳消しにしている。彼女に熱い視線を送っている男達が今のこの姿を目に入れてしまったら相当に衝撃を受けるに違いない。そんな事は彼女自身も良く知っているが、今この食堂に居るのは女三人だけである。ならば遠慮なくだらけさせてもらう、全力で。だらけるのが正義、とばかりにだらけまくっているのはキュルケ・ツェルプストー。

 一人は、青い髪をした眼鏡をかけている少女。だらける二人と対照的にきちんとした姿勢で椅子に座り一心不乱に本を読み進めている。その姿はまるで暑さを感じていないかのように、いつもと変わらないタバサ。

 十名にも満たない人数での寂しい朝食を取り終わった後、彼女達はそのままこうして誰も居ない食堂に居座り続けているのだった。なにせ寮塔の中は形容ではなく真実そのものまさに蒸し風呂と同じ状態であるからだ。おまけに今日は風がほんの僅かも吹く気配が無く、窓や扉を開け放っておこうとまったく涼む為の助けにはなりはしない。それに比べれば大きな本塔の一階に存在する大食堂は大きく開けた空間を持っており風通しもそれなりに良く、大分涼しい場所と言えた。勿論暑い事には変わりない。動く気力も沸いてこないというルイズやキュルケの様子から察せられるように、やはりこの場もうだるような暑さに支配されている。一見平然を装うタバサの頬にも汗がつたっており、よく見れば手もじっとりと汗ばんでいるのが見て取れた。しかし、それでも寮塔の中に比べれば全然ましなのだった。
 
「去年はさっさと家に帰ってたから気にしなかったんだけど」
 背もたれの上で頭をぐらんぐらんと横に揺らしながらルイズが気だるそうに言葉を吐く。
「この時期の寮の中ってほんっとうに暑いわね。まだ暑くなるんでしょ?」
「暑さが極まるのはもうちょい後ねぇー」
 言葉を受けるキュルケの目は既に死んでいる。もうなにもかもやる気が起きない、というのが一目で察せられるような眼差しだった。
「あと二週間もしてみなさい、地獄が見られるわよ」
「……そんなにヤバいの?」
「誇張抜きに、ヤバいわね」
 今の時点でも十分にヤバい暑さだと言うのに、さらに暑くなると言うのか。ルイズは自分の中にある気力がごっそり削られて行くのを感じた。正直言って、今ですら我慢ぎりぎりの暑さだ。これ以上暑くなるというのなら、体が持たないかもしれない。
 そんなルイズの思考を察したのか、キュルケがぽつりと呟く。
「去年は奉公に来てる平民の子が二人、倒れたわ。こんな暑い中残ってる先生なんてコルベール先生位しか居ないから、看病は残った生徒達でやったのよ。……今年もきっとまた誰か倒れるんじゃないかしら。この気候はもう暴力よ」

 あんたもその中に入らないように気をつけなさいよ、と言うキュルケの言葉に、ルイズは早くも――夏休み初日目にして――実家に帰らなかった事を後悔し始めた。たかが暑い位、気の持ちようでなんとかなるわ、なんて甘すぎる考えだったのだと。授業がある期間の内は、太陽の照り輝く昼は空気を冷やすマジックアイテム、というとても便利なもので快適な室温に保たれた教室にずっと閉じこもっていたし、夜は熱の篭った室内の空気と冷えた夜風がない交ぜになった暑いながらも涼しい環境に居たので認識が甘かったようだ。休みに入った今の教室はもう空気を冷やすマジックアイテムは働いていない――かなり高価なものである上、消耗品なので無駄に使う訳には行かないのだ――し、そうなるとこの凶悪な暑さの中空気が冷えてくる夜までなんとか凌がなくてはならなくなると想像して居なかった。
 
 そういえば、魔法学院に残った者の大多数はこの暑さの中を乗り切るだけの体力を持ちそうな者ばかりだった、と先程の朝食時周りに居た面々をルイズは思い返す。目の前で机につっぷしているやる気まったく無しなキュルケも、実際の所はこんな暑さにやられてしまう程やわな鍛え方はしていない。トライアングルクラス、という魔法の腕前ばかりに目が行きがちな彼女の能力であるが、実は身体能力もかなり高い。曰く「適度な運動は美容を保つ秘訣ですことよ?」との事らしく、授業の終わった放課後には軽いストレッチや走り込みをするのが彼女の日課であった。その為、適正に引き締められた体は下手な男子よりもよっぽど体力に満ち溢れ、健康的なのだった。そんな彼女であるならば、この暑さの中もなんとか乗り切る事が出来るだろう。
 
 タバサはタバサで、小さく華奢な見た目にそぐわぬ体力の持ち主であった。おそらく、体力的な部分で言えば魔法学院の中でも屈指の実力の持ち主であろう。どんなに激しく動こうと、彼女が息を切らせている所を誰も見た事が無い程だ。それに加え、彼女の二つ名は「雪風」。氷雪を操る事を得意とする彼女であるなら、涼む為の魔法を使うのもお手のものだろう。それを知っているキュルケは「タバサぁーあれやってよぉー」と懇願したのだが、「食後の休憩時間」と一蹴されてしまった。
 
 ――タバサの休憩時間が終われば涼しくなるのかしら?
 早く終わらないかなあ、休憩時間。ルイズが時間よ早く進めーとごろんごろん背もたれで頭を転がしていると、不意につっぷしているキュルケと目が合った。言葉を交わさずして判った、キュルケも同じ事を考えていると。今二人の心は一つだった。終われー休憩時間終われー。食後すぐに魔法を唱えるのは消化に悪いかもしれないけど、この暑さの方がよっぽど体に悪いですよー?

 あまりの暑さに、ルイズの思考はだんだんと混濁してきた。激しく鳴く虫の声が頭の中で木霊し、ぐるぐると渦を巻いてそれに拍車をかける。ああ、暑い。本当に暑い。これは只事では無い。きっと何かの陰謀だ。そうだ、エルフだ。エルフが先住魔法を使ってわたし達に攻撃を仕掛けてきてるのだ。そんな思考の中、何故か脳裏に「エルフじゃ! エルフの仕業じゃ!」と塔の窓から身を乗り出し叫ぶオールド・オスマンの姿が浮かんだ。そうか、やっぱりエルフの仕業か。恐るべしエルフ。

「もしもーし、ルイズ、生きてるぅ? なんか目が危ないわよあんた」
 キュルケの声が、混濁とした中からルイズの意識をすくい上げる。余りの暑さに、思考が異次元に飛んでいっていたようだ。
 はっきり言って、ルイズは体力が無い方だとそう自分でも自覚していた。何しろトリステインでも有数の力を持つ貴族、ヴァリエール家の三女なのだ。正真正銘良い所のお嬢様、汗を流して体を鍛えるなんてした事も無い。そんな少女にとって、今の気候は余りにも過酷で、辛いものだった。
「初日からこれじゃ、絶対に乗り切れないわよ。大人しく実家に帰った方が良いんじゃない? あんたの家のあるラ・ヴァリエール領はあたしの所とお隣で、かなり涼しいんだし」

 キュルケが言う通り、ルイズの実家であるラ・ヴァリエール領はゲルマニアと隣接する国境の領地である。首都トリスタニアより北東にある彼女の実家は、確かに魔法学院などよりも大分涼しく過ごし易い気候の下にあった。そこへ帰ればこのような暑さともおさらば出来るのは確実だし、それはルイズも承知していた。それでも尚、彼女は帰らなかったのだ。
「去年はさっさと実家に帰ったんでしょ? なんで今年は居残ってる訳よ」
 そのキュルケの問いに、ルイズはしばし言葉を詰まらせた。だらけながらも幾許かの逡巡を見せた後、彼女はぽつりと言葉を零すように答えた。
「帰る気はあるのよ、流石にこんなに暑い所に二ヶ月も居たいとは思わないわ。そのうち帰ろうとは思ってるし、さっさと帰ってきなさい、ってお母様からもお手紙が届いてるんだけどね……まあ、気持ちの問題かな」
「気持ちの問題?」
「そ。それを整理しないまま帰りたくないな、ってただそれだけの事なのよ」

 この数ヶ月間で、ルイズ・フランソワーズの身には色々な事が起こった。使い魔召喚の儀式を発端とした一連の出来事はあまりにも膨大な経験であり、未だ彼女の中でも消化しきれていはいなかったのだ。不安と戸惑いが常に彼女に内在し、わだかまりを生んでいた。それを放置したまま帰郷を果たしても、きっと気の休まる事は無いだろう。だから――意識的か、それとも無意識の内にか判然としてはいなかったが――求めたのだ、友人との触れ合いを。その中で何か答えが見出せるだろうと期待したのだ。

 ルイズとキュルケは友人となった。いや、とっくにそうであったのを自覚した、と言った方が正しい。あのタルブで起きたアルビオンとの戦を契機に、二人はそれをはっきりと自覚したのだった。勿論、言葉でそれを表すような事はしなかったが、付き合い方にそれが現れていた。朝部屋を飛び出して挨拶を交わす時、教室でちょっとした言葉を交わす時、暑さの残る夕刻にシルフィードの背で愚痴を交し合う時、客観的に見ればお互いの間に交換される言葉は今までと寸分までに代わらないのに、その空気がまったく違ったものになっていた。
 二人を少しでも良く知る人が見れば、会話をする時にお互いの表情に見られた険がまったくなくなっているのに気付いただろう。もう彼女達にとって両家の確執などはまったく影響を及ぼすものではなくなっていた。ただのルイズと、ありのままのキュルケがそこには有った。
 ルイズにとって、今の日常とはこうやって友人達と他愛も無い時間を過ごす事に相違無かった。詰まらないおしゃべりをして、ゆっくりと過ごす。そんな日々の繰り返しが彼女の中にある不安を和らげてくれる。実家に帰れば、そういった日常から離れる事になってしまい、そうしたら自分がどうなってしまうのか判らなかったから、ルイズは学院に残る事を選んだ。
 ――気持ちの整理、か。
 彼女は思い起こす。タルブでの出来事と、その後の事を。


 ルイズは巨艦レキシントン号に魔法を放った後の事は良く覚えていなかった。ワルドとの死闘で既に限界まで力を振り絞っており、その後さらに全力の力で戦い抜いたのだ、既に彼女の体は疲労の極地に達しており、とっくに限界を超えていた。朦朧とする意識の中、なんとかタルブの森へと降り立った事はなんとなく記憶にあるのだが、定かでは無い。
 次に意識が覚醒した時には、彼女は何処かの家のベッドの上だった。目を見開いた時、シエスタがやけに驚いた顔をしたのをはっきりと覚えている。シエスタは良かった、と一言呟いて目を潤ませると、今お医者様を呼んできますね、と言って部屋を飛び出していった。

 はっきりとしながらもまだ少しぼうっとした感覚を残したまま、ルイズは起き上がろうとしたが――僅かに逸らされた上体はほんの僅かにベッドを軋ませただけで、起き上がる事は適わなかった。まるで体中に鉛でも括り付けられているようだ、とルイズは感じた。それ程までに、今の自分の体は重いと感じられたのだ。そして体を貫くように走る鈍痛。耐えられない程では無いが、実に不快だ。ならば、と手を持ち上げようとしたが、やはり手もやけに重く持ち上がらないし、手が痛い。

 ――これって筋肉痛って奴?
 体を走る痛みは、以前に経験したそれにそっくりであった。体の重さも、極度の疲労に因るものだろう。そうルイズは断じた。
 体を動かすと、とにかく痛い。仕方ない、暫く大人しくしてるか、と思いながらも目は周囲の様子を捉えようと四方八方に動き続けていた。
 ルイズが寝かされている部屋は質素な木造の作りのもののようだった。調度品の類は余り無く、部屋にベッドが置いてあるだけで、他にあるのは花が活けてある花瓶が乗った小さな台だけであった。そしてどうやら、隣にはもう一台ベッドが備え付けられており、誰かが自分と同じように寝かされているようだ。目を動かしただけではその端にちらちらと過ぎる程度なので誰が居るのか、は判らない。一体誰なのだろう、と首を傾ける。幸い、首を動かす事は平常通りに可能であり、痛みもそんなに伴わなかった。
 動かされた視線の先、そこに写った人物は、見間違えるはずもない、キュルケ・ツェルプストーのものであった。彼女も丁度――目を醒ましたルイズの様子を探ろうとしたのだろう――こちらに首を傾けている所だった。二人の視線が絡み合い、そしてどちらともなく苦笑した。
 顔色は少々精彩を欠くものの、キュルケは元気そうな様子であった。目には何時もと変わらぬような精気が溢れ、彼女の命の輝きを表していた。
 ――良かった、助かったのね。
 その姿に、ルイズは安堵した。彼女の使い魔は主の望み通り、見事に友人の命を存えさせてみせたのだ。

 そういえば、リインフォースは何処に居るのだろう?と使い魔の事を意識の上に思い浮かべた。彼女には、聞きたい事が色々と有る。出来ればすぐにでも話をしたい、そう思って見慣れた本の姿を探そうとしたが――。
 どたどたと言う忙しない足音と共に部屋に入ってきた数人の者達によってそれは中断された。一人はマントをつけている事からメイジのようだ。手に持つ鞄から漏れ聞こえる硝子がかちゃかちゃと立てる音から察するに、医師なのだろう。その周りには幾人かの付き人と共に居るシエスタの姿もあった。

 どうやらルイズの推測は正しかったらしく、ルイズのベッドの脇でメイジは魔法を使い彼女の体を診察し始めた。幾つかの質問を交えながら診察は進み、「数日間ゆっくり休養すれば心配は無い」と結果を下すと、そそくさと部屋を後にしてしまった。あまりの愛想の無さにもシエスタは特に動揺を見せる事無く、彼女はその後姿に恭しく礼をして医師を見送り、そしてその姿が見えなくなった途端、待ちきれぬようにルイズの元へと駆け寄った。
「ああ良かったルイズ様。このまま目を醒まさなかったらどうしようかと思いました」
「そんな、大袈裟ね。ちょっと疲れただけよ」
 シエスタの大仰な様子に、思わず苦笑いするルイズ。どうやら大きな怪我も無いようだし、診察の時の様子からしても単に疲労が溜まっているだけだろうと自分の様子を認識していた。そこまで心配される事も無いだろうに。
「いいえ、とんでもありません!」
 ぶんぶんと大きく首を振ってシエスタは力説する。
「ルイズ様は一週間も目を醒まさなかったんですよ? 本当に凄く凄く心配したんですから。もしかしたら頭の中を傷つけてしまったんじゃないか、って……」
「そんなにわたしは眠っていたの?」
 一週間。そのように長い時間眠っていたなんて、まったく自覚が湧かない。
「大きな怪我をした様子も無いのに、全然目が醒めないから、もしかしたらずっとこのままなんじゃないかと……でも良かった、ルイズ様が無事で」
 シエスタはぎゅっと、ルイズのか細い体を抱きしめる。
「貴方達が私を、村の皆を助けに来てくださった事を、私達タルブの村人は一生忘れる事は無いでしょう」
 柔らかな笑顔を浮かべ、ほんの僅かに目を潤ませ、少女はそう告げた。
「村の皆に代わって感謝致します……ありがとう、ルイズ様」
「いいのよ。わたしはあなたに助けられた。だからわたしもあなたを助けた。これはただそれだけの話なのよ」
 ルイズの言葉に、シエスタは何も答えなかった。ただ、抱きしめる腕の力がほんの少しだけ、強くなったのをルイズは感じた。
「できればずっとお傍に付いてお世話をしたいのですけど、もう行かなくちゃならないんです。また、後で来ますね。今はゆっくり体を休めていて下さい」
 シエスタは静かに体を離すと、優雅な一礼を残し部屋を去っていった。

「随分好かれてるじゃない、あの娘に」
 シエスタが居なくなるのと同時に、横のベッドから声がかかる。
「これで相手が男だったら愛が芽生えそうな勢いだったのに、残念ねぇ」
 おかしそうに忍び笑いをするキュルケの様子は、普段と寸分の変わりも無い。それにルイズは安堵した。
「それだけの軽口が叩けるなら、もう体の方はすっかり良さそうね」
「タバサが腕の良い医者を引っ張ってきてくれたみたい。一週間も散々秘薬漬けになってれば嫌でも元気になっちゃうわ。そういうあんたこそ、一週間もぶっ続けで眠り続けて目覚めたばかりにしては十分元気そうじゃない」
「怪我とかは無いみたいだもの。むしろ眠り過ぎて疲れてる気がする。休養も取り過ぎれば体に毒ね」
 二人は声を上げて笑った。それはきっと、お互いの無事を確認しあった事への祝杯のようなものだったのだろう。笑い声は、暫く絶える事が無かった。
「ところで、ここは何処なの? シエスタが居るって事はタルブの村なのかしら?」
 ひとしきり笑った後、そこでやっとルイズは当然疑問に思うであろう事を口にした。
「そ。ここはタルブの村よ。その中でも、なんとか焼け落ちないで残っていた家を使わせてもらってるって訳。今は村の人総出で瓦礫の片付けとか家の建て直しとかをしてるみたいよ」
 キュルケの言葉は、ルイズの脳裏に焼け落ちるタルブの村の様子を思い起こさせた。村の家という家は焼かれ、それを糧にして生み出された火炎が渦巻く光景はまるで村が炎で作られた世界になったようだった。あの様では村は壊滅状態と言っても良いだろう。シエスタが忙しいのも仕方ないと納得出来た。
「とりあえず、眠りっぱなしだったあんたの為にここ一週間の世の中の動きを話してあげるとしましょうか」
 そう言ってキュルケは語り始めた。

 ルイズとキュルケを発見したのは、なんの因果だろうかシエスタだった。ラ・ロシェールの様子をもっと良く見ようと森の中を進んでいた彼女の目に――まるでそうして出会うように仕向けられたかのように――倒れる二人の貴族の少女の姿が目に入った。二人とも身形はぼろぼろになり薄汚れていたが、見間違うはずがない。間違いなくルイズとキュルケの姿だった。二人とも顔色が悪く、キュルケに至っては胸に大きな傷を負っているらしく、明らかに重症であった。
 シエスタは急いで皆が避難している場所にとって返すと、無事な男衆を引き連れて二人の下へと急ぎ戻り、彼女達を避難場所まで運び込んだ。どうか無事であって欲しい、とシエスタは始祖に祈った。
 やがて戻ってきたタバサも二人の様子を見ると僅かに顔色を変えた。運び込んでから大分経つが、外傷が無いのにルイズはまったく目を醒まさない事。そしてキュルケの傷の具合。彼女は今の二人を動かさない方が良いと判断した。応急処置程度はしてあるようだが、キュルケの傷は深く、シルフィードの背に乗せて動かすのは危険であり、またルイズも頭の損傷が疑われる為下手に動かすのは危険だろうと考えたのだ。もし運び込むのなら距離が近いラ・ロシェールなのだろうが、今あの街は混乱している。傷付いた傷病兵達や怪我をした一般市民達でごった返している為、満足な治療を受けられる環境では無い。
 ――治療出来る場所に連れて行くのが無理なら、治療の出来る者を連れてくるしかない。
 そう判断したタバサが向かったのは魔法学院だった。今の状況で腕が良く、交渉の手間が省けて直ぐに呼んで来れる医師が居る場所はここしかなかった。勝手に学院外へと飛び出して言った言い訳もそこそこに、半ば無理矢理のように医師を引っ張ってタバサは一路タルブへと飛んだのだった。

「まあそんな感じでタバサが医者を呼んできてくれたからあたし達は一命を取り留めたって訳。森の中に居たのはあんたがあたしを引っ張ってきて途中で力尽きたからなんだと思うけど……」
 キュルケの疑問に、ルイズは言葉を詰まらせる。確かに森の中で力尽きた事には相違無いが、彼女が想像しているだろう状況とはかなり違うだろうからだ。まさか戦艦相手に空中戦を繰り広げた後、力尽きて倒れたのだとは夢にも思うまい。
「……大体は、そんな感じよ」
 曖昧に肯定し、言葉を濁しておいた。

 ルイズの答えにキュルケは柔らかい笑みを見せる。言葉こそ無いものの、それが彼女の感謝の証であるのはすぐに理解出来た。普段向けられる事の無い表情――事に其れが今まで犬猿の仲とも言える相手であったので尚更――であったので、ルイズの胸の内に少し気恥ずかしさがこみ上げる。
 やや頭に血を上らせ顔を赤くするルイズに苦笑を交えながら、キュルケは言葉を続けた。
「あたし達に関してはこれでおしまい。二人は仲良くベッドに寝転がる破目になりました、で終わりなんだけどね……外の状況は色々と変化があったみたいよ」
「それはタルブの村やラ・ロシェールだけじゃなくて、トリステインって国自体に動きがあった、って事ね」
 キュルケは無言で肯いた。

 トリステインを突如襲ったアルビオン艦隊。それに立ち向かい見事打ち破ってみせたのは若き王女であった、という逸話は如何にも市井の者達好みのものであり、トリステインの人々は口々に王女を褒め称え、この勝利に沸き立っていた――とは一概には言えなかった。確かに国中の街や村は勝利に沸き立っていたが、その活気を打ち消してしまうような話もまた彼等の耳に届いていたからだ。
 ――アンリエッタ王女の破談と、それに伴うゲルマニアとの同盟の解消。
 国土少なく国力に乏しいトリステインにとって、この一件は致命的と言っても良いだけの衝撃を与えた。タルブでの一戦でアルビオンの空軍力は大きく削がれたものの、それでも尚トリステインを脅かすのに十分なだけの力を保っているのは明白である。それに対し、トリステイン側は空軍力の大半を失い、また勝利したとは言え兵士達にも多大な損害が出ており、次に攻め入られたらとても太刀打ち出来る状況ではなかった。
 故に人々は恐れていた。再びアルビオンが侵攻を始め、このトリステインの大地を蹂躙するのではないかと。
 またゲルマニアとの同盟破棄はアンリエッタ王女に原因があるという説が実しやかに噂されており、アルビオン侵攻の折に見せた見事な采配を賞賛する声の影で、彼女を糾弾する声があるのもまた事実だった。
 ひとまずの勝利に喜びながらも、どこか緊迫した空気が流れている。それが今のトリステインの状況だった。

「噂じゃあマザリーニ枢機卿、だっけ?あのオジサマへの期待が高まっているみたいよ。王女様も勇ましく一軍を率いて戦ったのは評価されてるみたいなんだけどね……うちの国との破談の方の原因を作ったんじゃないかって言われてるから評価は差し引きゼロ、ってところかしら。戦いが終わった直後はそれこそ女王に、って声もあったらしいんだけどねぇ、同盟が駄目になっちゃった件で宮廷貴族達から責められててそれもご破算になっちゃったそうよ」
 同盟が解消された、それは即ちあの手紙――アンリエッタ王女からウェールズ皇太子へと宛てられた恋文――が白日の下に晒されたという事だ。怖れていた自体が、最悪のタイミングで現実となってしまった事に、ルイズは知らずの内に奥歯を噛み締める。
 ある程度、割り切れてはいたつもりだった。自分は最善を尽くし、その上で力が及ばなかったのだと頭では理解していた。しかし現実に自らの行いが引き起こした事態を目の当たりにすると、心の奥底から自省と後悔が湧き上がってくるのを止める事は不可能であった。それが幼馴染の窮地を呼びこんだというのであれば尚更だ。
「気にする事は無いわ……と言っても、気休めにもならないか」
「流石にね。覚悟はしていたけれど、辛いわね、こうして目の前に突きつけられると」
 ルイズは静かに瞑目する。
「思わずにはいられないわ。わたしがもっとしっかりしていたなら、こんな事態は避けられたんじゃないかって」
 アンリエッタに味方は少ない。殆どの貴族達からはお飾りと思われ、その存在を軽んじられている。きっと今の彼女は孤立無援で一人窮地に立ち向かっているのだろう。そう思うと胸が締め付けられる思いだった。出来るなら今すぐにでも傍に行って力になりたい、そう思うものの――例え公爵家の娘であろうと一介の学生が城を訪れた所で王女に謁見を許される事は無いだろうし、なにより体が動かぬ今の状況では誰かの力になるどころか誰かの力を借りなければ満足に動く事すらままならない。その事が、さらに彼女を苛んだ。
「あたしは思うんだけどね」
 キュルケが呟くように言葉を落とす。
「きっと、あんたが何もしなければ状況はもっと悪くなってた。あんたが精一杯頑張ったから、これ位の被害で済んでるんじゃない? だから、あんまり自分を責めちゃ駄目よ」
 人は未来を知る事は無い。故に、あの時為した行動が最善であったのかどうかは判らない。もしかしたら、何もしない方が事態は好転したかもしれないし、もっともっと悪くなっていたかもしれない。それでもキュルケは思うのだ、あの時のルイズという少女の努力は無駄では無いと。きっと、それは何かを残しよりより未来へと繋がったのだと、そう確信している。この一年、彼女の傍でその行動を見続けていたキュルケだからこそ感じられる、漠然としか感じられずともそれでいて確固とした想いだった。
「とにかく、トリステインは内外問わずボロボロって感じね。外からのアルビオン侵略に怯えながらも、内では一つに纏まる事もできずに言い争いで無駄な時間を費やしてる。噂話で窺い知れるだけでこれだから、実際の宮廷はもっと酷い状況かもしれないわ」
 これはあたしも実家から帰って来いってお声がかかるかもね、とキュルケは溜息をついた。

「タバサが聞いてくる噂話が元だから、今判るのはこれ位ね。でもこれだけ国がごたごたしてるのに学院の方は何時もと変わりないみたい。戦争も、学生にとっては遠い出来事って事なんでしょうねえ」
「そりゃわたし達は半人前ですもの。責任も義務も無い立場なんだから、気が緩むのも仕方ないわ」
 わたし達だって――と言おうとしたルイズだが、寸での所で言葉を留める。他の学生達はともかく、自分達にとってこの戦争は人事では無くなっていたと、今さらながらに気が付いたのだ。アルビオンへと赴いたその日から、既に彼女達は当事者だった。
 それに何より、ルイズ自身に至っては矢面に立って戦う事までしている。キュルケやタバサならまだぎりぎりそうでは無いと言えるかもしれないが、ルイズに関しては完全に当事者であると言えるだろう。
「わたし達にとっては、どうなのかしら」
 わたし達も、と言う代わりに、自然とそういう言葉が口を突いて出た。
「まったくの無関係、を決め込むには事情を知りすぎてるのが困りものね」
 キュルケの声にも困惑の色が含まれていた。彼女も決めかねているのだろう、この状況に対しての自分の距離感を。
「近いようでいて遠い、そんな気がするわ。この先トリステインが戦火に巻き込まれるとして……あたし達は不幸にも状況に翻弄される可哀想な娘達なのかしら? それとも、もっと事態の中核に迫る存在なのかしら。はっきりしないわよね、あたし達の立場。なんか気持ちが悪いわ」
 ルイズはその問いに、答える術を持たなかった。二人の間に、沈黙が満ちる。

 釈然としない気持ちを抱えたまま、ルイズは再び眠りに落ちた。

 次の目覚めは先日とは打って変わって快適なものだった。幾分だるい感触はあるものの、体を動かすのに不都合はなさそうだ。窓の外から聞こえる囀りの音は、今が早朝である事を示していた。大分早い目覚めにも思えるが、昨日眠りに落ちたのはまだ夕刻前だったはず。十分に寝すぎね、とルイズは苦笑した。
 とりあえず上体を起し、首や肩を軽く回してみる。眠りっぱなしだった所為だろう、多少関節が固くなっているような感じはあるがそれだけだ。大きく伸びをすると、窓の外を見やる。外では、太陽がさんさんと輝いていた。初夏のじんわりと肌に熱が染み込んで来るような空気と共に、今日が良い一日になるだろうという予感を与えてくれるような清々しい朝だった。
 さてどうしよう? 横を見れば隣のベッドではキュルケが穏やかな顔ですやすやと眠っていた。彼女を起すのも悪い、このまま朝食まで二度寝しようかしら?と思案している彼女の脳裏に、声が響く。
『おはようございます、我が主。お体の方はもうすっかり良くなられたようですね』
 透き通るような、美しい声色。それは忘れようも無い、彼女の使い魔のものであった。
『おはよう、リインフォース。昨日は姿が見えなかったみたいだけど、一体何処に居たのかしら?』
『ご学友の方との語らいを邪魔するのも無粋かと思いまして、他の場所で控えておりました。その後主ルイズがすぐに眠りに落ちてしまわれたので、こうして馳せ参じるのも遅れてしまったという次第です。申し訳ございません』
『良いのよ、そんなのあやまることじゃないわ……って』
 そこまで会話を交わしてふと気付く。
「……わたし達、喋ってないのに会話してない?」
 この言葉こそ驚きのあまりぽつりと口から零れたものであったが、それ以外の二人の間で交わされた文言は全て声として現れてはいないものだった。
『我が身の主であるのならば、思念通話が使える事などなんの不思議も無いのですが……お分かりではなかったのですか?』
『なんかね、ごく当然みたいにしちゃったけど、冷静に考えると不思議になっちゃって』
 ルイズは首を捻る。
『なんでわたし、こういう事がすんなり出来ちゃったのかしら?』
 完全に無意識の行動だった。なので、二三言葉を交わすまで本気で不自然な事だと感じなかったのだ。
『それはともかくとして、あなたには色々聞きたい事があるの。それも沢山』
 ルイズは些細な疑問は頭の片隅に追いやって、まずはそれよりももっと重要なものを問う事にした。
『まず聞きたいのは主として一番大切な事よ。あなたは一体何なの? どう見ても単なる本とは言えないし』
 ――やはり、夜天の書とのリンクは表層的にしか残っていないか。運用する為の基礎知識すら断片的にしか送られてはいないのか。
 リインフォースのそんな呟きは、ルイズの意識に届く事は無かった。
『では改めまして自己紹介をさせて戴きます。私はリインフォース。この夜天の魔導書の管制人格です、主ルイズ』
 そう言って、何処からともなく姿を表す一冊の本。丁寧な物言いとは対照的にわさわさと頁をはためかせて中空で揺り動く様は滑稽で、思わず笑いそうになる。
『その……まず「かんせいじんかく」って言うのがどういうものかさっぱり判らないんだけど、そこから教えて貰えないかしら? あなたとこの本は別物って事なの?』
 ルイズは本に精霊が取り付いているようなものなのだろうか、と漠然とした想像を頭に思い浮かべた。

『そうですね、判り易く説明するなら……主が目にしている「夜天の魔導書」はメイジが振るう杖です。それも、持つだけで多種多様な魔法を使えるようになるような。しかしその数があまりにも膨大な為、振るうメイジがそれを選択して使うのは困難を極めます。その為、振るう主の為にその仕事をお助けする役目を与えられた存在が私です。云わば、魔法という書物が沢山収められた図書館を管理する司書と言えるでしょう。しかしながら、私の存在が夜天の魔導書に依存する以上、私をこの本と同一視して戴いても一向に構わないと存じます』
 とりあえずこの本が凄い力を持っていて、それを使いこなす為の補助となる存在だというのは理解した。基本的には最初に思い浮かべた通りで良いみたい、とルイズは納得した。「たんなる本に精霊が取り付いていた」から「物凄いマジックアイテムに精霊が取り付いていた」と言うように。

『今持つだけで多種多様な魔法が使えるようになる、って言っていたけど、それがあなたの力なの?』
 ルイズは思い出す。ラ・ロシェールの上空でアルビオンの艦隊と繰り広げた空中戦。その過程で用いた魔法はどんなメイジでも、おそらくエルフでも使う事は出来ない、未知の魔法。リインフォースが他人に未知の魔法を用いさせる力を持つ事は疑いようが無かった。
『それは半分正解、と言った所でしょうか。正確な機能は「他者の魔法を蒐集し、それを運用する」というものになります。幾千幾万、多くの世界に散らばる優秀な魔導師の魔法や未知の魔法を蒐集し、その研究をするのが私に課せられた役目です』

 それが、夜天の魔導書、ひいてはリインフォースが作られた意義であった。魔法というものは文化や個人によって技術に大きな差異がある。もし個人で教えを請うたとしても、向き不向きの問題で習得ができるとは限らないし、悠長に学ぶ時間だって限られている。故にまずはその魔法プロセスそのものを魔導デバイスに収め、ゆっくりと研究を進めれば良いと考えたものが居た。もし自分が志半ばで倒れたとしても、その技術が個人ではなく道具たる魔導デバイスに収められていたのならば次の世代へと研究を引き継ぐ事が出来る。それはきっと魔法文明の発展に寄与し、人々に幸福をもたらすだろうと、そういう想いの中から彼女は生まれた。
 決してその内容が損なわれる事が無いよう強力な再生機構を備え、何人にも脅かされる事が無いよう無双の戦闘能力を持った自立戦闘プログラムによって武装された、悠久の時を生きる魔導図書館。それが彼女の姿だった。
『他人の魔法を蒐集、ね……』
 その言葉に、ルイズの頭にある閃きが浮かんだ。
『もしかして、わたしが魔法を使えるようになったのも、あなたの力のお陰、なのかしら?』
 強力な土のメイジとして名を馳せるフーケとの事件の後に、土のメイジとして目覚めた。しかもやはりフーケに匹敵するだろうトライアングルクラス級の力に。それはつまり――。
『貴方のお考えになっておられる通りです、我が主』
 リインフォースはルイズの質問の意図を汲み取ったのだろう、それを肯定した。
『ですが勘違いしないで戴きたいのです。貴方の振るう魔法の力は既に私に依存したものではありません。当初こそ夜天の書を基点として魔法を展開していましたが、何度も用いる内にそれは貴方の技術へと昇華され、貴方だけのものなって行ったのです。例えこの身が消えたとしても、貴方は胸を張ってメイジだと主張する事が可能なはずです』

 頭上に太陽照り輝く中、タルブの村の人々は忙しく動き回っていた。村が焼き払われてから一週間以上が経過していたが、それでも村の復興はようやく振り出し、と言った所だ。各々が心の整理をつけさあ頑張ろうとやっと思えるようになったのが今のタルブの人々の状態だった。焼け残った私財を掻き集めなんとか使えそうなものを選別し、これから焼け落ちた家の残骸を片付けようと彼等は汗を流す。

 その中には当然シエスタも含まれていた。本来ならば短い休暇ももう終わりのはずなのだが、タルブの村の惨状を知ったオスマンの計らいによりそれは延長されていた。そんな訳で彼女は今も故郷に残り、今はすっかり黒こげの墨の塊になってしまった家をどうにかしようと悪戦苦闘している所だった。彼女の家は大多数の村民の家と同じように全焼してしまっていて元の面影などまったく残らない程に炎の洗礼を受けていた。両親や幼い兄弟達も総出でまずはこの瓦礫を撤去しないと新たな家を建てる事もままならない。
 逞しく育った村娘らしく、それなりの力仕事にも馴れているシエスタであったが、この作業にはかなりてこずらされていた。完全に燃え尽きてしまったのなら楽であっただろう。しかし焼け跡には中途半端に芯だけが残された柱に屋根や壁であっただろう部分の焼け残りが散乱しており、それをどかして綺麗にするもの大分難儀していたのだった。
 今は急場しのぎで作ったテントで生活をしているが、何時までもそこで暮らしてはいられない。シエスタの家はそれなりに家族の数が多いし、暖かい季節とは言え夜風は体に悪く、そんな環境に長い間両親や幼い弟達を晒しておくわけにはいかない。長女たるシエスタは一人わたしががんばらなくちゃ、と奮起していた。
 うんしょ、と手頃な瓦礫を持ち上げ運び出そうとする彼女の目に、意外な人物の姿が目に入った。思わず瓦礫を手から落としてしまったが、それにはまったく気を払わずに、シエスタは一目散に彼女の元へ向かう。
「わ、わわ、ルイズ様、もう起き上がって大丈夫なんですか?」
 昨日まで一週間も眠り続けていた少女が、ふらふらと外を出歩いている。これが心配でない訳が無かった。
「丸一日休んだもの。もうすっかり元気よ」
 そういう問題なの?と疑問に思わずにはいられないシエスタだったが、顔色も良く、多少足取りが悪い意外は特に問題が無いように彼女には見受けられた。とりあえず、ルイズ様がふらついて瓦礫で怪我だけはしないように気をつけよう。シエスタは何時でもルイズを支えられるようにそっと横に並んだ。
「こうして目の当たりにすると、酷い状態ね」
「殆ど焼けちゃいましたから。これでも少しは片付いたんですけど」
 ルイズが焼け跡を目の当たりにしたのは、これが初めてだった。炎に包まれる村の姿も心痛むものがあったが、こうやって焼け野原となってしまった村の姿は痛みと共に寂寥感を彼女に与えた。もし、自分の生まれ育った家であるヴァリエール邸が焼けてしまったら、きっととても悲しいに違いない。こうやって思うだけでも悲しいのに、それを現実に体験してしまったシエスタの胸中は如何程のものなのだろう。ちらりと盗み見たその横顔には、そういった色は見受けられなかったが――もしかしたら、自分が眠っていた一週間の内に、人知れず涙を流したのかもしれない。
「みんな大変そうね。でも、頑張ってる」
 焼け野原となった村の中を、忙しく人々が動き回っている。その姿にルイズはしたたかな人の強さを見た。逞しく、へこたれず、生き抜いていこうとする意思。それを彼女は美しいと思った。
「何時までもおちこんでばかりはいられませんから」
 そう言ってシエスタは笑った。そんな彼女の笑顔もまた美しかった。

 ルイズは懐からタクトを取り出す。大分薄汚れてしまってはいたが、現状で使える杖はこれだけだ。贅沢は言っていられない。彼女はタクトを振りかざすと、低い声で魔法の旋律を紡ぎ上げた。
「ルイズ様、一体何を……」
 シエスタの疑問の声は、隆起する土塊への驚きによって遮られた。
 今彼女達の眼前には、身の丈5メイルは有ろうかと言う大きな土ゴーレムの姿があった。シエスタはそれがあの日自分を助けてくれた時に見たものと同じものだと気付く。
「瓦礫を片付けなきゃならないんでしょ? なら手伝うわ」
 そう言ってルイズが杖を振るうと、ゴーレムはずしんずしんと鈍い足音を響かせながらシエスタの家があった場所へと向かうと、大きな瓦礫を軽々と掴み上げる。
「これ、どこに捨ててくれば良いのかしら」
「そんな、病み上がりのルイズ様のお手を煩わせる訳には行きません!」
 すっかり恐縮してしまっているシエスタの様子に、ルイズは苦笑するしかなかった。
「だからもうすっかり大丈夫だから心配しないで。それに、一週間もお世話になったんだから少し位恩返ししないと。何よりこうやってゴーレム使う方が断然に早いんだから、むしろ頼って頂戴。遠慮無くどんどん、ね」
 杖を振るう度にゴーレムは数を増やし、次々と瓦礫を片付けていく。目の前では、この先何日もかかるだろうと思われていた作業が瞬く間に終了してしまう所であった。

 これが、魔法の力。シエスタは改めてこの光景に驚嘆した。
 今まで彼女は魔法の力というものを漠然としか知らなかった。魔法学院に奉公に出ていたとしても、彼女が目にしていたのは時折偶然目にする事が出来た魔法の実習の姿や、フライで空を飛んでいる姿等であったため、あくまで固定概念的な凄さしか理解してはいなかった。だが平民である彼女は知っている。魔法とは自分達を脅かす絶対的な力であると。それを裏付けるようにあの日、村が焼かれた日、彼女は知ったのだ、魔法というものが生み出す圧倒的な暴力を。抗う事など不可能な絶対的な力。それは恐怖そのものだった。やはり魔法とは恐ろしい、貴族には逆らえない、そう実感した。

 だが、目の前の光景はその恐ろしさとは無縁だ。その力は、自分達を助ける為に使われている。目の前の少女が杖を振るう様は美しく、力強くシエスタの目に映った。
「凄い……」
 それは、目の前になされる行為に対してのみ向けられた言葉では無い。魔法という平民にとっては恐怖の対象である力が、自分達を傷つける為にではなく、向けられている。その事実に彼女は言葉を失ったのだ。
「まだまだこんなもんじゃないわよ」
 シエスタの呟きを、ゴーレムに対する驚嘆だと受け取ったルイズは、さらに魔法を紡ぐ。
 瓦礫をどけたとしても、村人達に安息は無い。これだけでは足りない。自分にはまだ出来る事があるはず、そう考えルイズは魔法を紡ぐ。
 思い浮かべるのはラ・ロシェールの街並みだ。岩から削りだされた家々の姿と、自分達が泊まった「女神の杵」亭の部屋の間取り。そこから想像されるであろう、新たな家の姿。それらを頭の中で粘土をこねくり回すようにして作り上げ、具象化し、魔法として放つ。
 土が盛り上がり、ゴーレム達が姿を変え、やがてそれは土で固められた家へと成り代わった。

「うーん……ちょっと不恰好かしら?」
 家の外観は四角い大きな箱がおかれたような、愛想の無いものであった。しかしそれでも、立派な家である事には変わりない。ルイズは自分のイメージ通りの間取りになっているか確認する為に家の中へと足を運んだ。目の前の光景に言葉を失っていたシエスタも、弾かれるようにしてそれに続く。
 シエスタの目に映ったのは、立派な家の姿だった。窓に硝子ははめ込まれておらず、部屋の間にはドアも付いていない。しかしそれでも、これは紛れも無い家であった。彼女の一家が暮らすのには十分な程、立派な。
「ラ・ロシェールの家を参考に作ってみたのだけれど、どうかしら? もし気に入って貰えたなら、このまま固定化をかけるけれど……」
 ルイズにしてみれば改心の出来のこの家であったが、それをシエスタが受け入れるかどうかは別問題だ。はっきり行って見てくれはあまり良くない。機能的には十分なものがあると自負しているが、それでも受け入れられるかどうかは不安であった。
 どうだろう?とシエスタの様子を窺うルイズであったが、シエスタは呆然としたように立ち尽くすばかり。その様子に、ルイズはさらに不安を募らせた。
「あの、シエスタ、聞こえてるー?」
「す……」
「す?」
「素晴らしいです、ルイズ様っ! こんなあっと言う間に家が一件建ってしまうなんて、驚きのあまり頭が真っ白になっちゃいました! わたしとしては大満足なんですけれど、一応両親がどう言うのか聞いて見ないと。きっと、両親も気に入ると思います。それじゃあさっそく、おとうさんとおかあさんを呼んで来ますね!」
 シエスタは先程までとは一転して大興奮していた。魔法でこんな事まで出来るなんて、想像もしていなかったからだ。
「何処に居るかなあ、おとうさん達」
「さっきから此処に居るんだが……」
「うひゃぁ!? おとうさん、居るなら居るって言ってよ!」
 いきなりかけられた声にシエスタが驚きの声を上げる。その様子に、シエスタの父は心外だ、と言いたげな表情を浮かべた。
「これだけの大事が起こってるんだ、そりゃ気になって戻ってくるだろう」
 周りを見れば、何時の間にか村の人達も皆集まってきてこの家を眺めている。聞こえるざわめきは、皆この出来事に感嘆を示すものばかりだった。
「わたしは素敵な家だと思うの。おとうさんはどう思う?」
 お伺いを立てるようなシエスタに、彼女の父は微笑んだ。
「気に入ったよ。良い家じゃないか」
 そう言うと、彼はルイズの方へと向き直る。そして、深々と頭を下げた。
「娘を助けていただいたばかりでなく、このような事まで……本当に、どれだけ感謝しても足りません」
「わたしも、皆さんにはお世話になりましたから。それに窮地に陥る人々を見捨てておくなんて、貴族の名折れですもの。当然の事をしたまでです」
 ルイズの言葉に、人々が沸いた。

 シエスタも、その両親も、村の人も、皆が喜んでいた。その姿を見て、ルイズは思う。この力は確かに純粋には自分のものとは言えないかもしれない。でも、どんな形であれ与えられる事がなければ、きっと何も出来なかった。
 リインフォースから蒐集の事を告げられた時、あまり衝撃を受けなかったのはその為なのだろう。かつての自分は魔法を使えるようになる事だけに価値を見出していた。しかし、今は違う。それを使い何を為すかに価値を見出している。だから、その経緯なんてどうでも良くなっていたのだ。
 今、自分が振るう魔法で救われる人が居る。それだけで十分だった。

 だが――彼女の脳裏に、先程のリインフォースとの会話の続きが浮かぶ。

『ねえ、あのどの系統にも属さない魔法も、全部あなたが蒐集したものなの?』
『はい。悠久なる時の中、幾多もの世界を巡り蒐集されたものです』
『このハルケギニア以外にも世界ってあるのね、信じられないけど』
 自分達が住まうハルケギニア以外にも世界があり、人々が暮らしている。想像すらした事も無かった。
『あらゆる魔法を防ぎ、艦隊を打ち落とす。驚異的な力だわ。そんな魔法が世の中には存在していたのね』
 あまりにも望外の力。戦っている最中は感情に任せ、無我夢中で行動していたから意識していなかったが、これは――。
『恐ろしい、力だわ』
 ルイズは恐れた。彼女に与えられた力はあまりにも強大。ハルケギニア最強と謳われたアルビオン空軍を一人で相手取り、殲滅せしめたのだ。もし、その気になりさえすれば。

 ――きっと、世界すら征するだろう。

『ごめんなさい、あなたを悪く言う訳じゃないけど、あれはわたしには過ぎた力にしか思えなくて』
『いいえ、賢明なご判断です』
 リインフォースの声色は気分を害する所か、喜びすら感じさせるものだった。
『それで良いのです。過去、何人もの人がこの書の力に溺れ身を滅ぼす様を管理人格である私はずっと見続けて来ました。貴方の判断は正しい、主ルイズ。力に溺れ欲のままに書を用いる事の無い高潔な精神を持つ主に巡りあえた事を誇りに思います』
『……とりあえず、あなたの力はあまり使わない事にするわ。特にあの一つになるやつ、ユニゾン、だっけ?あれは滅多な事では使わない。あれは本当に過ぎた力だから』
 それを肯定するリインフォースの声は、やはりどこか嬉しそうだった。

 与えられた力は、何かを為す為の力に止まらなかった。何事をも押し通し可能とするだけの強大な力、個人が持つには余りにも過分な力であったのだ。
 リインフォースは自分を賢明だと証した。しかし何時、その力に溺れるとも限らない。感情に流され、力に酔い、この笑顔を蹂躙してしまうかもしれない。
 シエスタやその家族、村人達が喜びに湧く中、笑顔に包まれながら、ルイズは一人、胸に恐怖を宿した。

 それから数日後、ルイズは瓦礫の撤去と家の建築に精を出した。シエスタの家の様子を見た村の人々達から、自分達の家も建てて欲しいという希望があったからだ。ルイズの方もシエスタの家だけ、とは思っていなかったので快くそれを承諾した。ゴーレムの操作も、家を捏ね上げるのも今のルイズにとってはそう難しい事ではない。ちょちょいと終わるわよ、と高を括っていたのだが、思わぬ誤算によって時間を食う破目になってしまった。瓦礫の撤去だけなら一日で終わり、魔法での建築もそんなに手間はかからなかったのだが、問題は固定化の魔法であった。手軽にちょっと杖を振れば終わりで済む魔法ではなかったし、不慣れであった為やたらと精神力を食う。結果として固定化を使っては暫く休みを入れなければならない破目に陥ってしまったのだ。二日もあれば終わるはず、という当初の目論見は外れ、結局その倍以上の時間がかかってしまった。これでも途中リハビリがてら固定化を手伝ってくれたキュルケが居ての事であり、もしキュルケが居なかったらさらに作業日数は伸びていただろう。

 そして全ての家を建て終わり、ルイズ達がタルブの村を離れる日がやって来た。
 村の外れで、迎えのタバサとシルフィードを待つルイズとキュルケ。その脇につき従うのはシエスタだった。大変ならば夏の休みが開けるまで村に滞在していても良い、という事になっていたようだが、シエスタ自身が「どうしてもルイズ様と一緒に学院に帰りたい」と主張したからだ。
 この数日間、シエスタにはルイズが何処か無理をしているように思えてならなかった。何かを忘れるように家を建てるのに没頭し、不安を振り払おうとしているかのような、そんな印象を受けたのだ。だから彼女はルイズに着いて帰る事に決めたのだ。この小さな貴族の少女を支える為に。今度は誰かに言われたからではない、自分の意思でそう決めて。
 一方、ルイズの隣で退屈そうに髪の毛を弄るキュルケもここ数日のルイズの様子がおかしい事に気がついていた。それはキュルケにとっては見慣れたものであった。即ち、やせ我慢。辛くて、苦しいのに、一人で心の中に抱えて悶々と悩む、それはまさに彼女が良く知るルイズ・フランソワーズの姿であった。
 ――まったく、なんでこう次から次へと厄介ごとを抱え込むんでしょうねこの子は。
 きっと、ルイズは悩みを話さない。そういう所はとっても頑固な娘だから。なら、何時も通りにからかって、笑って、何時も傍に居てあげよう。それが一番良い。直に手を貸すだけが良いやり方じゃない、力を失わないように励ましてあげるのも有効な手なんだから。キュルケは何時もの様に嘆息し、小さく微笑んだ。
 そんな二人の間でルイズが「あ、来たみたいよ」と無邪気に空を指差していた。まるで抱えた懊悩を覆い隠すように、それは余りにも不自然であると気付かぬのは本人ばかりであった。


 タルブより帰還し幾日も経ち、既に夏休みをも迎えようとしていても、やはりルイズの心は晴れなかった。一見夏の暑さにぐんにょりとだらけているように見えて、その実は悩みに心を支配されているのだった。
 閉ざされた瞼に写るのは、圧倒的な力で、アルビオンを攻め落とす自分の姿。それは決して、不可能な事では無い。もし願えば、直ぐにでも現実となる事なのだ。それが堪らなく恐ろしかった。
 だって、今でもその誘惑に心を惹かれているのだから。自分の幼馴染を煩わせる神聖アルビオン帝国に対し、そう思わずには居られないのだから。
「ああ……」
 ルイズの唇から、吐息が漏れる。彼女の懊悩と、苦痛を乗せた、重く、切ない一欠片が、空へと零れ落ちて行く。
「それにしても」
 ルイズはそれを振り払うように言葉を紡ぐ。
「タバサ、食後の休憩時間はまだ終わらないの?」
 タバサは無言で顔を上げると、一言呟いた。
「読み終わるまでが、休憩時間」
 その手に持つ本の残り頁は、どう見ても直ぐに終わりそうにない量であった。
 横でごん、と鈍い音がした。そろそろかな?と期待に顔を上げたキュルケが、絶望に力尽きてテーブルに突っ伏した音だろう。
 ルイズもそれに習うように、力尽きてごん、と音を立てながらテーブルへと身を横たえた。もう限界、と力尽きる中、何も考えられなくなってくる思考がほんの少しだけ、有り難かった。考える事が出来なくなるのなら、思い悩む事も無いのだから。

 そんな光景を、密かに見守るのはリインフォースであった。例え寮塔にその身が置かれていようと、彼女の検知範囲に居るのならば傍にいるのとそう変わらない。まるで直ぐに傍らにいる心地で、彼女は主の愉快な日常を見守っていた。主がこのように平穏な日常を送る、これ以上の喜びは無い。
 しかし、そんな彼女にも主同様に悩みがあった。

 まず、己の状態について。先日のタルブでの戦闘で行ったユニゾンは、さらなる損傷を彼女に与えていた。基礎構造が崩壊しつつある現状、どうあっても力の行使は己の崩壊へと結びつくようだ。おそらく、あと数回。数える程のユニゾンで、自分の身は完全に崩壊するとリインフォースは判断していた。次の一回は確実に大丈夫だろうが、しかし早ければその次、遠くても二桁の回数をこなす事は不可能だろう。だが、それは些細な事だった。恐ろしいのは自分が崩壊する事では無い。崩壊してしまう事で、真に自分の力が必要な時に、主を助ける事が適わないこと、それが恐ろしかった。

 そしてユニゾンには。もっと恐ろしい弊害がある。その事を先の戦闘で彼女は思い知らされた。何故かは判らない。主たるルイズとのユニゾンは、原因不能の付加を主の身にもたらしていた。それが、一週間も眠り続ける事になった元凶であった。最後の魔力砲撃で多大な魔力負荷が掛かったとは言え、僅か十分強。それだけの時間の戦闘で、あれだけの影響を残したのだ。それ以上の時間ユニゾンし戦闘をしたのなら、一体どのような影響が体に残る事か。おそらく脳に過剰な負荷を与え、その生理機能を侵し、考えるのも恐ろしいような障害を彼女に与えるだろう。そして、最悪の場合には――。

 例えこの身が崩壊しかけていようと、主を蝕むような事になるとは思えない。おそらく、主であるルイズに何かまだ窺い知ることの無い秘密があるのだろう。それが、一体なんなのか。機能が不完全なリインフォースには、知る術が無く、故にどんな対処を取る事も不可能であった。
 ――結局、業から逃れる事は出来ぬ身か。
 かつての主を蝕んだように、今新たな主の身をも蝕もうとしている、そんな己が身を彼女は呪った。そして願った、どうか自分の力が使う機会がもう二度と訪れる事が無いようにと。幸い、ルイズは積極的に自分を使おうとは考えていない。

 だが、とリインフォースは危惧を募らせる。アルビオン艦隊の旗艦が放った砲撃。あれは、間違いなく純魔力の高密度砲撃。それはこの世界の水準を大きく越えたテクノロジーである事は疑いようも無かった。もしや、自分以外にも外部の魔法文明を知る者がこの世界には居る? もしそれが正しく、その力が再びこの国や主の周りの人々に向けられたのなら、主であるルイズは躊躇わずに自分の力を使うだろう。もしそうなったなら、次は無事で居られるかどうか――。
 いや、と彼女は思いなおす。我が身は主に仕える道具、もし次にユニゾンしなければならない時が来たとしたなら、この命に代えても主の身を守る。その名、リインフォースに籠められた願いのままに。
 リインフォースは一人、静かに決意を固めた。

 夏の晴れ渡る空の下、その健やかなる天候とは裏腹に、新たなる夜天の王とその従卒の心は暗雲に閉ざされ、晴れる事は無かった。



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20 : 30 : 48 | 夜天の使い魔 第二部 | トラックバック(0) | コメント(12) | page top↑
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コメント
26話更新おめでとうございます。
25話終盤とのテンションの落差がツボにw
リインとは自由に会話できるようになったようですが、やはりユニゾンはリスクが大きいようですね。
果たして次回のユニゾンはいつなのか、気になる所です。

次回も更新、頑張ってください
by: 青鏡 * 2007/12/02 20:50 * URL [ 編集] | page top↑
再開おめでとうございます。と言うべきでしょうか。
やはり、限度を超えた力にはなにがしかの制限がついてくるものですね。
ルイズも、大人にならざるを得ない状況です。
これからの彼女の判断を楽しみにしています。
by: るるる * 2007/12/02 21:58 * URL [ 編集] | page top↑
更新キタァァァァァァッ!!
26話更新、お疲れ様です。

1部ラストの凛々しさはどこに消えた?! と思わず叫びたくなる冒頭のダレっぷりがイカしてますねw 

キュルケたんの回想やら、ユニゾンのリスクなど、いきなり全力全開で死亡フラグ立てまくってますね。う~ん、正しくなのは的展開(マテ


年の瀬も近付き、忙しくなるこの頃、お体には十分お気お付けくださいませ。
by: chu-nen * 2007/12/02 21:59 * URL [ 編集] | page top↑
やっと北―!
なのはは全く判らないのですが大好きです
合体もそうですが、本当は使えない(とは限らないですが)系統魔法を使っているルイズへの反動とかも怖そうですね
次回も楽しみにしています

万感の思いを持て余して誤字報告
下から数えて六段落目
×「脳神経に過剰な付加」
○「脳神経に過剰な負荷」
by: * 2007/12/02 22:05 * URL [ 編集] | page top↑
26話更新お疲れ様です。
25話の後とは思えないほどのだらけっぷりですねw

毎回楽しみにしてます。次回も頑張ってください!
by: どら * 2007/12/02 22:52 * URL [ 編集] | page top↑
あのスレで一番楽しみにしていた作品なので、再開されてうれしい限りです。
次回もがんばってください。

そして、間違い発見。
「念話」はミッドチルダ式の魔法で、ベルカ式では「思念通話」です。
まぁ、リインフォースなら、「念話」も使えて不思議は無いですから、間違いとは言い切れないでけど。
by: Ciu-M * 2007/12/02 23:50 * URL [ 編集] | page top↑
お疲れ様です
ご苦労様です。
あっけなくキュルケが助かったのは拍子抜けでしたが、全体的に面白かったです。

次話も期待しております。
by: 日ドラ * 2007/12/03 01:22 * URL [ 編集] | page top↑
感想
リインには幸せになって欲しいのだけど、中々前途多難だなぁ…
そういえば、ユニゾン無しでもルイズは練習すればミッド式やベルカ式の魔法が使えるのかな? 難しいかな?
では次回も楽しみにしています。
by: にゃんが~ * 2007/12/03 01:24 * URL [ 編集] | page top↑
更新お疲れ様です。

スレ掲載時から読ませて頂いておりましたので、
連載再開を楽しみに待っていましたが、
相変わらずのハイクォリティで、嬉しい限りです。
今後も期待しておりますので、ご無理の無いペースで頑張ってください。

一箇所だけ誤字報告を(文章量からすると、非常に誤字は少ないと思います)

×「寸での所で」
○「すんでの所で」or「既の所で」

「すんで」とは「既(すで)」の撥音化なので、漢字では「既の所で」となります。
(goo辞書、Excite辞書などでご確認ください)
ただし、漢字だと分かりにくいので、かなで「すんで」と書くのが良いかと思います。
by: * 2007/12/04 05:47 * URL [ 編集] | page top↑
更新きたああああああああ!
非常に楽しみにしてましたw
まだまだ悩みが多そうな主人公コンビですがこれからも期待してます
by: ぐだぐださん * 2007/12/04 20:07 * URL [ 編集] | page top↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2007/12/05 15:18 * [ 編集] | page top↑
調子にのって、こちらにも。

> 多少足取りが悪い意外
→以外

> 生き抜いていこうとする意思
> 自分の意思でそう決めて。
→間違っているわけではないですが、
・意志: 物事をなすにあたっての積極的なこころざし。
・意思: 心の中に思い浮かべる、何かをしようという考え。思い。
ということなので(from Infoseekの辞書)、「意志」の方が良いんじゃないかと。

> 改心の出来
→会心

> 原因不能の付加を主の身にもたらしていた。
→「原因不明の負荷」かなぁ?
by: * 2007/12/26 22:53 * URL [ 編集] | page top↑

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